大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和37(あ)2317 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人山本嘉盛の上告趣意第一点のうち憲法三九条違反を主張する点は、刑罰法

規については憲法三九条によつて事後法の制定は禁止されているけれども、民事法

規については憲法は法律がその効果を遡及せしめることを禁止していないことは、

当裁判所の判例(昭和二三年(オ)第一三七号同二四年五月一八日大法廷判決民集

三巻六号一九九頁)とするところであつて、所論の宅地建物取引業法の一部を改正

する法律(昭和三二年法律第一三一号)所定の営業保証金に関する各条項は、いず

れも民事法規であることが明らかであるから、知事が右改正法に規定するところに

従い同法所定の月日までに営業保証金の供託を怠つた被告人に対し、同法所定の各

条項を適用して、被告人の宅地建物取引業者の登録を取り消しても、憲法三九条に

なんら違反するものではない。それ故所論憲法三九条違反の主張は理由がない。憲

法二二条違反を主張する点は、憲法二二条の保障する営業の自由は絶対無制限のも

のではなく、公共の福祉の要請がある限り、その自由は制限されるものであること

は当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第一八九〇号同二五年六月七日大法廷判決刑

集四巻六号九五六頁)とするところであり、また所論前掲改正法附則六項ないし八

項において、既存の宅地建物取引業者についても、昭和三四年八月三一日までに所

定の営業保証金を供託すべき義務を課し、その義務を履行しない業者に対し同法一

二条の五、一項、二〇条二項ないし四項を適用して、知事は所定の手続を経て営業

の登録を取り消すことができる旨定められているのは、公共の福祉を維持するため

必要な規制措置であることを当裁判所の判例(昭和三六年(オ)第四九六号同三七

年一〇月二四日大法廷判決民集一六巻一〇号二一四三頁)とするところであるから、

右営業保証金の供託を怠つたことを理由として、既存業者の登録を取り消す右改正

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法の制度をもつて、憲法二二条に違反するということはできない。それ故知事が被

告人の登録を取り消したことをもつて憲法二二条に違反する旨の主張は、理由がな

い。

同第二点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理

由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三九年五月二三日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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